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WeChatミニプログラムによる中国越境ECが最強説?基本から学ぶ現在の中国越境EC

WeChatミニプログラムをご存じでしょうか?

2017年からテンセント社からリリースし、同社開発したWeChatというインスタントメッセンジャーアプリに内臓された機能です。
今まで独占していた大手モールサイトにわずか4年ほどで肩を並べる存在になるほどのソリューションです。

今回はそんなミニプログラムは一体どういうものか、なぜ中国の企業はモールではなくミニプログラムに活路を見出そうとしているか、
日本の企業はこれを中国越境ECで利用する場合どこまで価値があるか、
などなどさまざまな疑問に対してお答え致します。

WeChatミニプログラムに対して所見の方でもよい参考になっていければ幸いと思います。

WeChatミニプログラムとは

iosやアンドロイドなどのモバイルOSでそれに適応したプログラミング言語でスマートフォンアプリが制作できます。
ミニプログラムはそのスマートフォンアプリの中にさらにWechat内で展開することでインストール不要となる「アプリ」の作成が可能になる機能です。

WeChatというフレームに包まれた「アプリ」は皆さんが認識の通り、所謂スマートフォンアプリとほぼ同様の機能を利用することができるので、ECサイト、予約サイト(フライト・ホテルなど)、中古車取引、メディアサイトなど様々なミニプログラムがサービスサイトのように運用されています。

特にEC系のミニプログラムは絶賛な使い勝手や従来のショッピングモールと比べ、一新された購入体験によって多くのファンが定着されました。

2020年以降、ソーシャルコマースやライブコマースなど中国ECのトレンドに乗ってさらに爆発的にユーザー数が増えました。

▼WeChatミニプログラムをWeChatからの開き方
WeChatミニプログラム起動方法

ミニプログラムが生まれた背景

WeChatは、LINEのようなインスタントメッセンジャーアプリとして、中国ではスマートフォンを持っていればインストールしており人数にして11億人のユーザーが存在している国民的アプリです。

スマートフォン経済といわれる時代に突入したことにより、世界中の人がパソコンから離れて携帯で日常を送り、仕事に欠かせないツールとして利用しているため、モバイルアプリの通知開封率はメールをはじめとしたプラットフォームをはるかに上回っています。

また、メッセンジャーアプリとしてWeChat自体の開封率も同カテゴリでもトップクラスにあります。

このような状況では、ユーザーへの到達率が優れた面から考慮し、よりもっと効率的なWeChatでマーケティングを実施する傾向が強くなりつつありました。

そして、Eコマースは中国国内で最も人気のある産業となっており、WeChatでECの需要や市場が伸びるのも時間の問題です。
決済面においてもWeChatPayのシェア率がAlipayに迫ってきています。その背景をもってミニプログラムが誕生しました。

ミニプログラムの数推移 ミニプログラムのDAU ミニプログラムの取引ボリューム

WeChatミニプログラムで越境ECがあり?

「コスト」「機能」「マーケティング」この3つの角度から簡単に解説したいと思います。

コスト面

中国越境ECを考えると、まず頭に浮かぶのは大体下記の選択肢ではないでしょうか?

  1. 大手ショッピングモールへ出店・出品
  2. 自社の越境ECサイトで販売

有名なアリババ系の大手ショッピングモールや京東(ジンドン)モールなどのトップクラスを最初に検討なさるかもしれません。ただ数百万円の初期コストを要し、さらに膨大な運用費用、手数料が課せられ、中小企業としてもなかなか簡単に手が届く領域ではありません。
資金に余裕があったところで、厳しい審査があり、それに通過しない場合もあります。

逆に自社越境ECを作る場合はモールと比べると場合によってはコストが節約され、思い通りのサイトができる分、サイト流入がゼロから始まるので、初期段階のマーケティングにかなり苦労することは避けられません。

この二つの選択肢についてさらに詳しく解説した記事はこちらです。

それらと比べたら、WeChatミニプログラムはすべての手段の中から一番低コストで自社フロントエンド開発チームがいれば、その他のコストをあまりかからず構築することができます。

そして10億以上のユーザーが日々WeChatに使われているということでポテンシャルが高いです。
越境ECの手段として現時点で最強と言われています。

機能面

ミニプログラムはWeChatの機能の一部として、WeChatの各機能が活用できるという特徴があります。自社越境ECサイトと比べ、同じ運用方法がされたとしても売上に大きく差がつくほど遥かに優れています。

シングルサインオン(SSO)

会員登録をする時に、GoogleアカウントやFacebookアカウントでのログイン認証を見たことがあると思います。
サイトの利便性を向上させ、多くの訪問者に登録してもらえる仕組みです。
こういうSSO機能が多くのサイトに導入されています。

WeChatミニプログラムでできたECサイトや会員サイトではすでにWechatでログインしている状態なのでユーザーが買い物を進める中で1クリック、パスワードなしでシームレスに登録ができます。

WeChatミニプログラムのSSO機能

スマートフォンのデスクトップに格納

WeChatミニプログラムはアプリという性質を持っているので、お気に入りのミニプログラムをみつえたらスマートフォンのデスクトップに保存してアプリと同様、ワンタップで起動させることもできます。

特にEC系であれば、リピートの可能性が飛躍的に高まり、売上向上につながることは間違いありません。

※この機能は現時点アンドロイドOSのモバイルで操作可能です。
WeChatミニプログラムをホーム画面に保存

チャットカスタマーサポート

中国EC環境に恵まれた中国ユーザーはカスタマーサポートに対してチャットによる対応が最低限だと認識しています。
日本ではメール対応は普通だということを中国人からしたら、遅い、あり得ない、逃げられたらどうするなどと悩みがちです。
常に速いレスを期待している中国ユーザーからするとチャットによる対応があるか否かによって、購買の判断をするほどの大問題です。

自社越境ECサイトを作ってチャットシステムまで導入しなければならないのかと思われるかもしれませんが、WeChatミニプログラムならWeChatをサポートセンターを使うことができます。
WeChatで訪問、購入、物流、アフタサービスまで充実されれば、よりユーザーが定着され、利用し続ける理由になります。

WeChat公式アカウントとのコンビネーション

コンテンツマーケティングといわれる手法を使い、WeChat公式アカウントからWeChatアプリ内のユーザーへ発信することで、最終的にミニプログラムでできたECサイトへ流入を増やすなどといった使い方があります

ミニプログラム内にWeChat公式アカウントから発信した記事を載せたり、公式アカウントをフォローしてもらえたりする逆なやり方も、自社顧客を囲い込んで新品やキャンペーンなどを実施してECの売上に貢献します。

WeChat公式アカウントはわからない方は以下の記事で詳しく紹介しているので、合わせてチェックしてみてください。

マーケティング

ECモール大手の市場独占それによって生まれたモール手数料の高騰、規制の厳しさが目立つようになりました。
出品・出店しただけで売上が伸びる時代は過去の話で、モール内の広告サービスを”利用しつづけなければ”、売上は永遠にゼロに近い状況になる場合もあります。

いかに広告費用を抑えて売上を継続させる方法を考えた結果、同じ広告費用を投入するなら、大手ECモールに貢献するより「自社の顧客」として囲えることに対して重きを置いた考え方に一転しつつある状況です。

自社ECサイトや大手ショッピングモールと違って、サイト露出やアクセス数をできるだけ向上させる施策ではなく、アクセスしたユーザーをいかに離脱させなく定着させるよう運用に力を入れたマーケティング手法を採用しています。

トレンドマーケティング手法を採用

WeChatミニプログラムは現在中国EC業界において話題となっているソーシャルコマースとライブコマースを導入しています。

ソーシャルコマースというのは概念や手法というより、セールの使い方に近いです。セールはあらかじめ店側が自社の利益率など様々な条件を見据えて割合を決めます。
一方、ソーシャルコマースにおけるセールは顧客の「努力」次第、割合率が決まる仕組みを取っています。

顧客が自らの人間関係を使えば使うほど大幅な割引が適応され、やがて無料で商品をもらえるケースも存在します。

まるでゲームのような雰囲気で楽しくものを買えるまったく斬新な購入体験です。
一時的に中国全土に嵐を巻き起こす一大ブームとなっていました。

ソーシャルコマースの詳細に関しては、こちらの記事も合わせてご覧ください。

WeChatミニプログラムによる中国越境ECが最強か

中国のネットワーク環境はもはや世界か中国かというほど線引きされて分けられています。

中国法人を設立せず日本にいる事業者たちは中国が許されるネットワーク環境、現地サーバー、現地ソリューションを使い、いかにパフォーマンスや手数料削減など最大化できるかを重要視していると思います。
将来でも安定してずっと利用続けられるプラットフォームを見通しておく必要があります。

▼主要越境ECプラットフォームの比較

項目 大手ショッピングモール 自社越境ECサイト ミニプログラム
利用プラットフォーム 中国国内大手モールサイト Magento、Shopifyなど WeChatミニプログラム
利用難易度 ★★★★★
※審査要り

※審査なし
★★
※審査要り
初期費用 ★★★★★ ★★★
ランニング費用 ★★★
中国人の使いやすさ・馴染みさ ★★★★★ ★★ ★★★★★
マーケティング目標 注文 自社顧客 自社顧客
革新的な機能 特になし 開発要件次第で、実現可能 ・ソーシャルコマース対応
・ライブコマース対応
カスタマーサポート 初期対応 別途構築必要 初期対応
国際物流 大手物流システム/別途契約 別途契約 別途契約
販売商品への規制 あり(麻薬、武器、アダルト、薬などを含み、モールの既製品) 日本の関係法律や法令に基づき、販売が許可されるもの あり(麻薬、武器、アダルト、薬などがメイン)
売上手数料 あり(2.5%-5%が相場) なし なし
中国決済方法 Alipay、銀聯、WeChatPayなど計10種類以上の決済方法
※初期搭載
Alipay、銀聯、WeChatPay
※別途契約と実装要り
WeChatpayのみ
※別途契約要り
決済レート 0.7%-1.2%が相場
※売上に応じる変動制
2.5%-3.5% 2.0%前後

これから中国へ売っていきたい、一度挫折したところでほかの施策がないかと模索している方たちは、手頃の価格で今伸び続けているWeChatミニプログラムで中国越境ECにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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ABOUT ME
Jiang
中国上海出身で2018年に来日、現在福岡在住。 来日前8年間中国マーケティングの仕事に携わり、ウェブマーケティング専門でマーケターとして活躍しています。 中国集客・広告・EC出店をご提案しています。

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