インターネットを大きく二つ分けると、中国とその他と認識して間違いないと思います。
中国国内ではグレートファイアウォール(金盾)と呼ばれるコンテンツ検閲システムを稼働していることで、中国国内にいる中国人のほとんどは海外発のサービスが利用できていない状態です。
そんな環境下で、中国は独自のネットワークやサービスを次々と開発し、膨張している人口そして莫大な消費意欲を抱えているこの国では独自な商習慣や文化を生み出しています。
世界中で人気のあるアフィリエイトマーケティング。壁の中にある中国ではどのような方法で行われているのかご興味ありませんか?
今回は中国式アフィリエイトの事情をいくつか事例を用いて日本事業者は自社越境ECにいかに活用したらいいのか解説してみたいと思います。
中国アフィリエイトの黎明期
Affiliateという概念を提唱しはじめたのはAmazonでした。
1996年にリリースされたAmazonアソシエイトプログラムですが、その後日本では1999年~2000年近くその思想をベースにて日本に特化したValueCommerceやA8.netからもアフィリエイトサービスがリリースしていました。
当時中国ではアフィリエイトという概念がなく、検索エンジンやECも何もなかった時代でした。
2004年にようやく中華圏に対応したアフィリエイトサービスプロバイダー(以下ASP)がはじめて誕生し、合計で20万以上サイト数と連携していた実績がありました。
出典:iResearch
わずか10年で末期を迎える
2004年から運営している中国初めてのASPである盘石(パンシー)のように相次いで数えきれないほどの同様のサービスを行っている企業が誕生しました。
パソコンを持つ家庭がどんどん増えてきて、アフィリエイトという稼ぎ方に気づいたユーザーも増えてきましたが、広告リンクの悪用、不正操作などのチートツールによって、
「広告ばかりクリックされて費用が発生しても売上にならない」という声が多くなり、ASPは広告主からの信用をだいぶ落としました。
その影響を受けて「アフィリエイトはもう稼げない」と多くのサイト主の悲鳴が絶えませんでした。
不振の種が植えられてしまっていました。
2011年以降、モバイルインターネット時代の突入により、ユーザーのインターネットの使い方が一変され、モバイルファーストの概念によって広告手段が変わらなければならないにもかかわらず、当時大手ASPたちはその変革に気づかず、不正対策や信用挽回に全力投球していました。
スマートフォンの台頭によってアプリが流行りだした2014年頃には、その便利さと使い勝手によって百度検索をはじめとした検索エンジンからシェアを奪い、少しずつ検索エンジンのユーザーを獲得していました。
今までSEOを依存としたASP事業およびアフィリエイターにとっては大ダメージです。
2021年現在でも、あまりにも数の少ない個人サイト主の力だけでは大手企業によるSEO対策には到底抗えなく、ほとんど法人化されたメディアサイトに独占されている状況です。
中国ウェブサイトの数は2018年からは連続2年マイナス成長となりました。
出典:chyxx
アプリが土台となったアフィリエイト
アプリの爆発的な成長によって広告の仕組みは大幅な改革を余儀なくされました。
アプリ内の広告仕組みを優先されることで、ネイティブ広告、インフィード広告などが主流となりました。
アフィリエイトで収入を得たい人たちがアプリに集いました。
WeChat公式アカウントによるアフィリエイト
WeChat公式アカウントを知らない方は以下の記事で詳しく説明してありますので合わせてご覧ください。
フォロワーを500人いれば、流入主として登録することが許されます。
記事内および記事底部の広告表示枠に、広告主の広告を掲載する権利を獲得できるので、購読している人が多いほど、どんどんアフィリエイト収入を得られるわけです。
CPCは0.5元~5元まで幅広い広告商材がありますが、従来のASPサービスとは違い、どの商材を自分の公式アカウントに掲載するか自由に選べず、すべてテンセント社のアルゴリズムによって決まり、収入面では安定しませんでした。
とはいえ、広告をクリックしてもらいWeChat公式アカウントによる広告効果を保つため、アフィリエイターの記事内容に合わせてクリックされやすそうな広告内容を自動表示しています。
クリック率は1%前後という素晴らしいデータによって多くのアフィリエイターが参入し、2020年はWeChat公式アカウント数は約2,000万に上回りました。
人気動画アプリでアフィリエイト
商材を選んで広告主の商品を売ることに集中するというアフィリエイトの本質に戻り、正真正銘のアフィリエイトといえるプラットフォームは、今中国でトレンドとなっているTiktok(抖音ドウイン)です。
Tiktokでは、コンテンツ動画を配信することでフォロワーを獲得することができます。
一定のファン数を持っている以上、商品シェアをできる権限を申し込むことが許されます。
上図のように動画コンテンツの左下、リンクのようなアイコンが出ているところはアフィリエイトリンクです。
Tiktok側に登録した広告主の商品をピックアップすることができるし、Tiktokに対応した他プラットフォームで販売されている商品も載せることができます。
自分の動画コンテンツを通して商品を売った場合はアフィリエイトのCPS報酬をもらえます。
現在Tiktokでは良質でエンターテインメントコンテンツを提供して、違和感なく閲覧者に購入してもらえるよう多くのTiktokerたちは今でも収益化を工夫しています。
ミニプログラムでアフィリエイト
WeChatミニプログラムをはじめとしたミニプログラムサービスは2018年からブームになっていました。
多くの中国事業者はWeChat公式アカウントの恩恵を受けて、ミニプログラムに参入して自社ECサイトやホームページを構築していました。
WeChatミニプログラムを知らない方は以下の記事で詳しく説明してありますので合わせてご覧ください。
ミニプログラムによるECは中国最大シェアのアプリであるWeChatに依存し、ソーシャルコマースは大成功しています。
それはマーケティングにおいて多様な機能が盛り込まれているからでもあり、その中には、アフィリエイト機能が秀逸です。
その最大な特徴は、ライフタイムコミッション(継続報酬型)が搭載されているということです。
※ミニプログラムEC構築サービスによって機能が異なり、一部ミニプログラムサービスは搭載されていません。
ミニプログラムのECサイトから発行したアフィリエイトリンクをWeChatやWeibo、Tiktok、レッドブックなどさまざまなツールで掲載し、顧客の流入、なんかしらの行動を起こした場合、アフィリエイターと親子関係に紐づくように設定することができます。
たとえば、クーポン券の受領、会員カードの申し込み、商品の購入などが挙げられます。
今後同じミニプログラムで商品を購入される度に、コミッションが発生していきます。
越境ECにも役立つアフィリエイト
というわけで、中国のアフィリエイターたちはモバイル時代にも再び盛り上がって別の形でより高度な行い方を駆使し、きちんと活動してくれているとお分かりになっていただけたのでしょうか?
従来のASPという存在は莫大な流入の持ち主である各アプリの代わりになってしまっている状況といえるでしょう。
今でもまだ存在している中国ASPに出稿しても意味がないというわけではありませんが、効率よく時代のトレンドとなる手法を駆使してマーケティングしていくのがベストではないでしょうか?
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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