ライブコマース

[ライブコマース躍進]2022年中国618の「年中セール」を解読

中国ECについて、ライブコマースという単語を耳にすることは日常になってきたとは思いませんでしょうか。

日本ではコロナ禍でEC市場が跳ね上がってますが、中国も同様です。
2018年からライバーを中心としたEC、ライブコマースという形で一気にヒートアップし、今は最もポテンシャルを持つEC市場として注目されつつあります。

今回の記事は6月に中国で行われた例年ECイベント「618」の売上データおよび今後ライブコマース市場の予測を解説したいと思います。

618セールイベントとは

618セールイベントはもともと中国のECモールにおいてNo.2を占める京東(ジンドン)が主催したセールイベントですが、今はダブル11のような年末セールと似たようなイメージで、中国最大の「年中セール」として認識されています。

※ダブル11につきましては、こちらの記事も併せてお読みください。

2022年618セールイベント全ネットワークGMV推移引用:http://www.syntun.com.cn/ 

御覧の通り、2022年6月18日期間、厳密いうと、5月31日~6月18日、19日間の全ネットワークの総取引額として6,959億元(約14兆円)と発表されました。去年と比べて20.3%成長しました。
一方、今回注目されたのは、ライブコマースの実績でした。

2022年618セールイベント期間中ライブコマースGMV推移
引用:http://www.syntun.com.cn/ 

2021年の618全ネットワークの総取引額に対してわずか645億元で全体の11%の割合でしたが、今年のは売上額も全体に対する割合もどちらでも、一気に倍以上の成長が見られました。
ライブコマースは対全体の比率が向上しているということから、以前より多くの中国消費者はライブコマースという形で買い物することに抵抗感が薄くなっていっていると言えましょう。
ライブコマースは既に中国従来のモール形態から切り離して無視できなくなったプレイヤーの一人、さらに主力となった消費者であるZ世代の人口がさらに増えることによって、ライブコマース規模が大きくなると思われます。

消費カテゴリランキング

さらに、618セールイベントの商品ジャンル別売上ランキングを見てきますと、過去のデータと違う一面を見せてくれました。
現在中国はゼロコロナ政策によるロックダウンにメリハリつけて続いているんですが、
特に今年4月、上海のロックダウンによって国民は積極的に食料を蓄える傾向が今でも強いです。
下図のデータにもそのまま反映していますが、食料関連の売上は、去年同期と比べて合計で約55.7%が増加されました。 一方、化粧品・スキンケアは去年同期より20%縮小されました。
2022年618セールイベント全モールサイト商品ジャンル別売上トップ9
引用:http://www.syntun.com.cn/ 

驚愕のライブコマース売上

国民の収入が減少されて影響を受けたという要因はもちろん無視できないですが、今年抖音(ドウイン、Tiktokの中国名)の618セール期間に、化粧品・スキンケアの売上は去年同期より、126%成長したとデータを見せてくれました。先ほどライブコマースが全体の取引額の割合が急成長したことを多少裏付けたデータになると思われます。

2022年618セールイベント抖音化粧品とスキンケア売上
引用:飞瓜数据

トップライバーたちが次々と退場
ライブコマースの新旧交替が進んでいる

ご存じの方がいらっしゃると思いますが、 中国のトップライバーであるこちらの二人さんです。(左:薇娅ウェイヤー  右:李佳琦リージャーチ)

中国トップライバーである薇娅と李佳琦

二人ともライブコマースの古参として、1回のライブで億単位の売上を立てるトップクラスのライバーです。 しかし、脱税問題や政治問題だと思われる原因て現在退場させられた状況になっています。

こちらのデータを見てきますと、恐ろしいことに2021年はライバーのTOP5経由の売上額は全体の30%を占めています。
あまりにもでかい影響力を持つライバーは買い手の交渉力が強くなってブランド側の値上げが難しくなります。ブランド側の利益が低下しやすいということです。

その中でも、ライブしてあげることを条件に、商品の全ネットワークでの最安値を提供してくれというふうに、脅威になりかねない存在になったライバーさんもいます。

今年の618ではTOP5の売上は全体の3%のみにとどまったとはいえ、ライブコマース全体の売上は逆に去年より倍成長してしまいました。
かなり良好な数字を見せました。

ライブコマースが独占されてしまうと、安い商品ばかり横行してしまう恐れがあります。
これからライブコマースに進出するブランド側にしろ、ライバー側にしろ、この状況はもし続く場合、新参者には非常に不公平な環境になります。ですので、その新旧交替に関しては極めて朗報だと思います。

注目されている私域ライブコマース

ライブコマースが成長を遂げる一方で、自社プラットフォームによるライブコマースも同様に大きな反響を呼んでいます。618セール期間中、レノボのWeChatミニプログラムライブコマースは、合計35万人の視聴者を集め、合計3304万元(約6億円)の売上が発生したと報道されております。

2022年618レノボセールイベント

抖音(ドウイン)でライブをせず自社のミニプログラムでライブを行うという 私域ライブコマースも今ますます実用的になりました。
私域ライブコマースの話をする前に、まず私域について簡単に説明します。

私域ライブコマースの相関図
分かりやすく例えると、メルマガ登録、ライン公式アカウントをフォローしてくれた顧客に、これから発売する新商品を発信したらすぐ反応してくる、こういう自社が所有する顧客にストレートに接触できる手段は「私域(しいき)」と呼ばれています。
こういうライブコマースにも応用されて、自社が持つハウスリストにライブを招待してその場で購入してもらう手段は、公域ライブコマースと比べて比較的コストが低く、コンバージョンとリピートが高いといわれています。

まとめ

中国ECはZ世代の登場によって消費者のニーズと需要も変わ、時代と技術の進歩にともなって新しい仕組みがどんどん開発されているとわかります。
現在認知度UP+売上UPに繋がるライブコマース市場がさらに拡大して、ブランドを代表する「売れる人」が今後の軸になりつつあると感じております。

今はまだライブコマースが旬の手法なので、私たちはいかにそのチャンスをつかむことができるのかはこれからの課題になると思っております。

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ABOUT ME
Jiang
中国上海出身で2018年に来日、現在福岡在住。 来日前8年間中国マーケティングの仕事に携わり、ウェブマーケティング専門でマーケターとして活躍しています。 中国集客・広告・EC出店をご提案しています。

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