中国毎年恒例のイベントである「ダブル11」は無事終わりました。
今年は過去のように24時間の売上報告がなく、盛り上がらずになんとなく穏やかに過ごしたと感じています。
個人消費の低迷を背景に、アリババの当期の商品取引総額は5,403億人民元(約9兆円)となり、前年同期の26%増から大幅に減少し、8.45%増となりました。 ダブル11期間中、京東(JD)は堅調に推移し、商品注文は3491億人民元(約6兆円)となり、前年同期比29%増と、昨年の前年同期比33%増からやや減少しました。 ダブル11当日の売上は、第1波での先行販売のシェアが高まったことにより、前年比5.5%減となりました。
過去のダブル11の実績
引用:中商情報綱
2021年ダブル11期間(10月20日~11月11日)は全ネットワークEC小売売上の実績を見てみると、今年は9651.2億元(17兆円)に昇ったとわかりました。
過去を遡ると、売上は依然として凄まじい勢いを保っていますが、前年比として12%前後成長したことに留まりました。成長率は右肩下がりで少しずつ衰えていく印象です。
引用:中商情報綱
こちらはダブル11期間、プラットフォーム全体売上に対して各ECプラットフォームの売上割合を示す表グラフになっています。
アリババ、京東(ジンドン)、拼多多(ピンドウドウ)がトップ3位であり、合わせて約90%以上占めています。
EC事業者ごとの売上は?
今回アリババ傘下ECプラットフォームTmallは5,403億人民元(約9兆円)の売上が出ており、約総勢29万のEC事業者がセールイベントに参加したといわれています。その中では、中小レベルのEC事業者は全体の65%で約19万社ございます。そのうち7万は初めて参加したというデータがあります。
平均値で1社ごとに今回2021年中国ダブル11のイベントを通じて約186万人民元(約3300万円)の売上を出したとわかります。
しかし29万社全てがきちんと上記のように、売上を出して儲かっているのかというと、残念ながらそこに対して公式データが発表されていませんでした。
そこはパレートの法則で当てはめることで、推測することができるのではないでしょうか?
パレート法則いわゆる2:8法則とも呼ばれており、ビジネスにおいて、売上の8割は全顧客の2割が生み出しているということ、つまり今回5,403億人民元(約9兆円)の売上の80%(4322億元)はEC事業者の20%(約5.8社)が生出したということになるでしょう。
ということは、トップの20%たちは平均1社ごとに、745万元(約1億3千万円)になります。
一方、80%のEC事業者は平均1社ごとに大体46万元(約816万円)になります。その中位数を取れば、ほとんどのEC事業者は46万元未満になるでしょう。
もちろんこれは正しい数字というわけではありませんが、より現実的な数字に偏ったと思われます。
ダブル11で再び注目されるライブコマース
ライブコマースはモール型ECの派生として、セールスプランニングの一環であるというふうに思われていましたが、少しずつモールECから離脱してスピンアウトした印象が見受けられます。特にTikTok中国の「抖音(ドウイン)」、動画アプリ「快手(クアイショウ)」などはECプラットフォームと繋がったライブコマースと平行して独立しています。
引用:中金研究
2021年ダブル11において、10月20日から11月3日までのみのデータを見るとライブコマース単体で約821億元(1兆4億円)の売上、約全ネットワークの8%前後になっております。
ライブコマース全体はわずかですが、右肩上がりの状態が続いており、ダブル11において重要な役割を果たすことになっています。
販売商品カテゴリの売上割合
引用:中金研究
現在ライブコマースを堪能しているプラットフォームは、
タオバオが運用するライブコマースアプリ点淘(デンタオ)、TikTok中国の「抖音(ドウイン)」、動画アプリ「快手(クアイショウ)」がメジャーとして挙げられています。
ダブル11で売れている商品は大きく分けると化粧品・スキンケア、食品飲料、マタニティ、小型家電があったそうです。
今回ダブル11のライブコマースのデータを見ると、タオバオライブコマースでは化粧品がよく売れる、「抖音(ドウイン)」では食品関連が売れるというふうにとらえることができます。
プラットフォーム別の人気商品カテゴリがわかるということで、中国越境EC事業者はどのプラットフォームで自社ライブを行うのかよい参考になるのではないかと思います。
まとめ
今年のダブル11全体の小売売上はいよいよ1兆元に迫りつつあります。
コロナは完全に収束されておらずにゼロ・コロナ政策と同時にここまで実績が出たのは、アリババや京東などのモール型ECのイベント運用力が欠かせません。
従来のダブル11はモール型ECのみ独占するイベントではありましたが、ライブコマースはモール型ECとやはり違うというふうに改めて認識し始める人が出てたりして、ライブコマースが加入したマルチプレイヤーに転じたダブル11になるでしょう。
ライブコマースの視聴者については、
こちらの記事を合わせてお読みください。
中国消費者は基本的9月以降、購入意欲を抑えて、ダブル11で安く買えたい人がほとんどなので、ライブコマースのような決まった時間帯及びダブル11のセールイベントの相乗効果によってライブコマースに最大化の効果が出るはずだと思っています。
そこに一点集中してブランドの認知を広げる方法として現在中国後進ブランドが採用されているそうです。