中国トップインフルエンサーの発信力を活かしたライブコマースの勢いが止まりません。
インフルエンサーによるライブコマースはあくまで形ですぎず、百度リスティング広告やSNSのタイムライン広告とまったく同様で実質ペイド広告であるという理論に基づき、企業側は自社の「私域流量」を構築していくには、いかにライブコマースを利用していくのか課題になりつつあります。
今回は「私域流量」構築に使われるトッププラットフォームであるWechat(ウィチャット)とライブコマースのイベント事例を紹介します。
私域流量とは
「私域流量」は2019年中国マーケティング業界で流行語の一つでした。
文字通り「私」=私有、「域」=領域、「流量」=流入。
企業は広告費を一切かけずに企業の「マイゾーン」へユーザー自らアクセスしてくることを意味しています。
Wechat(ウィチャット)は幾多のコミュニケーションアプリやSNSアプリの中では「私域流量」を構築する効率性は唯一無二の存在といっても過言ではありません。
その理由は大きく3つあります。
①10億以上ユーザー数
スマートフォンを持っていれる人であれば、Wechat(ウィチャット)を必ずインストールしているほどのユーザー規模になってきています。
そのユーザー規模を相手に配信でき、コミュニケーションが取れる強力なプラットフォームです。
②企業メッセージの到達性
SNSアプリだけでは到底できないメッセージ到達性はWechat(ウィチャット)が持っています。
そもそもSNSではユーザーのタイムラインに表示される内容はアルゴリズムによって決まっています。
フォローしたアカウントから届いたコンテンツを同時に見えることができないという点は、「私域流量」の構築は向きません。
③決済機能
WechatPayはAlipay(支付宝)と同等の勢力を誇る中国決済方法です。
企業からの企画やコンテンツが届く。内容を見る。商品を選ぶ。支払う。などの一連の行動はすべてWechat(ウィチャット)の中だけで完結でき、スムーズに行えるという特徴を持っています。
自社の「私域流量」を構築する目的としたライブコマース企画
6月10日に中国テンセントが資本注入した「微盟(Weimob)」は6月10日から6月18日まで、MENDALE、Lenovo、GXG、林清轩、Shanghai Jahwaなどなどおおよそ数百の有名ブランドを招待し、初回オンラインとオフラインを繋ぐ相互連携された盛大なショッピングフェスティバルが開催されました。
また、6月16日午後7時からは中国で有名なトークショー俳優をミニプログラム「微盟直播(微盟ライブ配信)」のスタジオに招待していました。
トークショー芸のネタ披露+ブランド側のライブ配信という比較的真新しいコラボレーションで3時間ライブ放送されました。
今回の616ショッピングフェスティバルは、美容化粧品、デジタル製品、アパレル、インテリア、宝石など多くのカテゴリーを網羅した世界初の「1+N」という配信モデルが採用されております。
「1+N」とはメインステージとなる「微盟(Weimob)」主催の芸能人たちと複数のブランドが仕切ったサブステージとのコラボ演出という形を指しています。
Wechat(ウィチャット)のモーメンツ(LINEのタイムラインのような機能)で微盟がイベントの告知を事前にしておくことで、多くのWechat(ウィチャット)ユーザーに注目を浴びられ、ソーシャルメディアでの拡散とバズ効果によって流入を確保しました。
全国10,000以上実店舗参のオンライン初のリテール・フェスティバル開催
イベント準備期間中、数百の協賛ブランドの約合計1万以上の実店舗は同時にイベントに参加していました。
各店舗案内係は入店した顧客に該当イベントを知らせて専用の割引券や商品金券など発行し、顧客はその場で利用または後日のオンラインイベントで使うこともできるようになっています。
特筆すべきところといえば、各店舗案内係は1時間ごとの販売実績に応じて時間帯別ランキング上位の「販売実力者」に現金報酬をプレゼントするというパフォーマンスコンテストも準備されました。
企業側の案内係は微盟アプリを使ってWechatミニプログラムのQRコードを生成して、Wechat(ウィチャット)のモーメンツやファングループ、公式アカウントから送付してユーザーとのコミュニケーションを取るなど様々な行動の原動力になってきています。
6月16日に開かれたライブコマースの参加人数は360万人に上回り、6月16日夜23時まで、総売上高7.13億元(約108憶円:2020/7現在)に達していました。
Wechat(ウィチャット)をメインした初めてのライブコマースイベントは大いに成果を上げました。
まとめ
従来インフルエンサーによるライブコマースのやり方では、インフルエンサーに充てた広告費でわいわい盛り上がって終了。
つまり広告枠を買って宣伝する形と同様であくまで「注文」を獲得しています。
定期的に実施しなければ、注文が入らないので広告費を払い続けなければならいない悪循環に陥ってしまいます。
今回は企業側自らのライブコマースを重点にした企画であり企業側自身のライブコマースを行うことで「注文」ではなく、リピートが期待できるユーザーを獲得、自社の「マイゾーン」に入ってもらって顧客を育てていくことになります。
まさにブランド、スタッフ、顧客どちらもWinWinの状態になる企画でした。
中国インフルエンサーに頼らず自社ライブコマース専用のライバーを雇用して育て上げる企業は増えていく可能性も生み出しています。
テンセント社の関連サービス、微盟およびWechat(ウィチャット)をメインにしたライブコマースの手法が台頭し、中国ライブコマースのメジャー手法になりかねません。
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