2020年10月9日に、中国深セン市は世界初のデジタル通貨「ベータテスト」記念イベントを開始しました。
合計1,000万デジタル人民元を5万人へプレゼントし、ひとりごとに200元を獲得する企画でした。
10月11日の8時、イベント主催者は1,913,847人の深センの住民を対象に抽選会を開催し、当選者は指定されたデジタルウォレットをダウンロードするだけで200デジタル人民元を受け取ることができます。当選率が高く盛り上がっていました。
今回発行されたデジタル人民元は、現金に同等な価値があります。
深セン羅湖区内の指定されたデジタル人民元に対応している3,000以上の店舗で消費することができます。
銀行口座に預け入れは禁止されているので、10月18日までに使いきれない場合は回収される仕組みだそうです。
今回のデジタル人民元を発行する主な目的はほかではなく、デジタル通貨が実際の使用でどのような問題が発生するかの確認するためのテストでした。
デジタル人民元の発行が厳しく制限、監視されており、勝手に市場に投入することは当面難しいですが、深センでの「ベータテスト」により、全国範囲のオープンが間近に迫っているでしょう。
デジタル通貨のことがよくわからない方もいらっしゃるかもしれませんので、ここで簡単にご紹介します。
デジタル人民元とは
デジタル通貨は、紙のお金に代わる電子通貨です。
つまり、DCEPと呼ばれるデジタル通貨(Digital Currency)と電子支払い(electronic payment)です。
デジタル人民元は中国中央銀行によって発行され、紙のお金と同等の機能と属性、国の信用を持っている法定通貨に属します。
デジタル人民元ウォレットは、QRコード支払い、送金と受け取り、AlipayやWeChatのような基本機能に加えて、ワンタッチ支払いもサポートしています。2台のスマートフォンに触れることで送金機能を実現できます。
さらに、デジタル人民元には送金側と受取側両方オフラインでも決済が処理できる機能も対応していると言われています。
決済方法としての違い
デジタル通貨の使用方法はWeChatとAlipayのと酷似していますが、両者の間には本質的な違いがあります。
WeChatとAlipayは単なる決済方法であり、単なる数字です。取引が完了したら、実際変動するのはあなたが銀行に預かったお金のバランスです。
WeChatアカウントとAlipayアカウントが凍結された場合もしくは、そういった決済方法をサポートしない店舗であれば、それらを介して支払うことはまずできません。
同じ性質を持つクレジットカード決済や日本のPayPay、LinePayなども同様です。
要するに店舗次第といったところでしょうか。
一方、デジタル通貨自体はそもそもデジタル化された紙札であり、第三者の許可が要らず国が認めた通貨です。
デジタル通貨が普及すれば、現金などのようにどこでも使えるようになるので、決済代行を入れいない実店舗やECサイトでそういった理由で購入できないといったことはありません。
では、WeChatとAlipayの支払いが非常に便利な今日このごろ、なぜデジタル通貨を実装する必要があるのでしょうか。
デジタル人民元の必要性と特徴
利便性
まず第一に、デジタル通貨は将来的に遥かに便利な決済方法となりえます。
それは「アカウント」という概念を捨て、デジタル人民元はユーザーに直接リンクされるからです。
たとえば、京東モール(Jd.com)は競合であるアリババのAlipayを導入しない方針を取っています。その代わりに自社決済方法「京東ウォレット」を強く推奨しています。
京東モールで買い物したい!そして「京東ウォレット」よくわからない、、、。
といった方にはデジタル人民元といった今後デフォルトに配置される決済方法を使えるわけです。
ネットワークに依存せず、オフラインでも現金のように支払いが可能になるということが魅力ですね。
「ネットスピードが遅いから、QRカードはまだ表示されない」などの煩わしさもなくなります。
もちろん、IT技術の発展に伴い、デジタル通貨を稼働させるデバイスはスマートフォンに限らず、あらゆるツールになる可能性が秘められています。
安全性
携帯が盗まれた場合、その中のデジタル通貨はなくなるのでしょうか?と思われるかもしれませんが、デジタル人民元の2番目の利点としてそれは極めて高い安全性です。
ビットコインのように法定通貨とは違って中央の管理者がいない通貨である場合、どれだけセキュリティが強くても、盗まれたら、匿名ユーザーグループの中で追跡は難しいでしょう。
実名制度を実施しながら、中央集権で管理しているからこそ、すべてのお金は十分にデジタル化されています。
悪質業者が送金する場合も記録が残ります。
したがって、デジタル通貨はユーザーにとってより安全で信頼性が保っています。
また、紙幣やコインは流通過程で容易に偽造され、経験の浅い人にとっては見分けがつきにくいものです。
デジタル通貨の普及とともに、偽造通貨はなくなります。
マネーロンダリングやテロ資金供与も大幅に削減され、監督が容易になります。
中国EC決済の新参者
現在の中国EC環境では、毎日のオンラインショッピングや資金移動を必要とする場面などでAlipayまたはWeChatを使用することに慣れています。
言い換えれば、アリババとテンセントは独自のプラットフォームに決済インフラを組み込んでおり、それらによって作成されたeコマース+決済スキームを部外者が破ることは困難です。
ただし、デジタル人民元は政府が推進するプロジェクトの一つであるため、その支援や政策を受けた上で電子商取引市場におけるデジタル人民元のマーケットシェアは激しい競争の中でもある程度確保できるでしょう。
デジタル人民元と比較すると、既存のサードパーティ決済会社には依然として利点があります。
既存のサードパーティの決済会社は、健全なエコシステムを構築しています。
したがって、短期的には、デジタル人民元は主要決済方法と相互に依存する状況を形成し、その成熟したエコシステムもまだ必要としているように見受けられます。
デジタル人民元のリリースにより、決済業界は大きな変化に直面すると考えています。2020年以降、決済業界はデジタル通貨の新時代に突入します。
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