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【2021年関税徹底攻略】行郵税・越境EC総合税・増値税。中国に送付時に発生する税金は何がある?

更新履歴

2021.10.06 行郵税通関の50元免税額に対する説明を更新しました。

中国における越境ECの需要が拡大し続ける中、中国政府は越境ECを支援するため、越境EC事業者の資格を持つ企業を対象に、税金の軽減や通関手続きの簡素化など、さまざまな政策を実施しています。
国境を越えた電子商取引の商材や購入限度額は、まだ完全には自由化されていませんが、14億人の人口を抱える市場である中国の消費ポテンシャルは、国内の生活水準の向上に伴い、更に徐々に高まっていくと予測されています。

中国の人口と消費力の高まりは、どの国にとっても魅力的な市場ですが、
・どのようなEコマースシステムを使うか
・お客様にどのように商品をお届けするか
・どのようにスムーズな取引を行うか
など、経営者にとってはまだまだ検討すべき課題がたくさんあります。

本記事では、中国と日本における越境ECの一環である物流と税金問題に焦点を当てて記述したいと思います。

中国に支払う税金に関する問題

税金は誰が負担すべき?

まだ越境ECに対してEMSやFedexを使ったりしている事業者はいると思いますが、結論と言いますと、中国向けの配送はEMSやFedexはやめたほうが無難です。
コロナ禍前、日本から中国の個人へ物を送る際にすでに荷物ごとに厳しくチェックされるよう統制をしはじめていましたが、今現在はEMSなどの一般物流会社を通す場合は、99%の通関止め率で荷物がチェックされ、受取人に「行郵税」という税金を請求しています。

海外から中国のお客様に商品を送ると、税関からの税金が請求、いわゆる関税がかかることはご存じと思います。
スマートフォンの利便性向上に伴い、WeChatなどで税金を支払うなど、すべてオンラインで行うことができます。

このプロセスはすっかり便利になりましたが、いくら発生するか税関に届いてからわかるものであって、購入する前に事前に顧客に知らせる術はありません。

開封検査を受けて追加課税を支払うことになった場合は大事なお客様(受取人)に課税が課されることになり、聞いてなかったお客様は支払い拒否をする可能性が非常に高く、その場合は強制返送、没収されることになってしまいます。
中国側の顧客体験といえば壊滅的です。

この業界の共通認識として、中国のお客様に税金や手数料を負担してもらうのではなく、売り主が負担することが主流となっています。
物流会社の中には、税金が発生した時点で売り主が立て替えれるよう担保金を事前に払うことで、対応してくれる業者も存在しています。

担保金制度でご利用いただける物流事業者を無料でご紹介いたします。
ご興味のある方はこちらでお問い合わせください。

税金種類と税率

現在、日本事業者が中国越境ECを行う際には、「行郵税」と「越境EC総合税」に適応するCCモードとBCモードをどちらか利用するのが一般的です。

行郵税(CCモード)

行郵税というのは、あくまで個人利用目的とされる荷物を送る際に適応される税金です。
企業名義ではなく個人名義から中国の個人に送る前提があります。
そして商品カテゴリによって違う税率が適応されるので、ご注意ください。

税目
番号
行郵税税率 対象商品
1 13% 書籍・新聞、刊行物、教育用映像資料、パソコン、デジタルカメラなどのIT機器、食品、飲料、金銀、家具、玩具、ゲーム、季節行事用またはその他娯楽用品、薬品
2 20% スポーツ用品(ゴルフボール及びゴルフ用品を除く)、釣り用具、紡績品及びその製品、テレビカメラ及びその他電気機器、自転車、税目1及び税目3に含まれないその他の商品
3 50% たばこ、酒、高級アクセサリー及びジュエリー・宝石、ゴルフボール及びゴルフ用品、高級腕時計、高級化粧品

CCモードの特徴:

  1. 個人名義で送る
  2. 50元免税上限額が適応される
  3. 中国保税倉庫を利用できない
  4. 1注文は1,000元(15,800円)まで、商品は1件で分割不可であれば、最大5,000元まで

50元免税上限額というのは、たとえば食品関連の商品を中国に送る場合、食品関連の税率だと13%に適応されます。
1注文の金額は380元(約6,444円)としますと、380元*13%=49.4元の税金が発生しますが、50元の免税額がさらに適応されるので、実質税金はゼロになります。
ただ発生した税金50元以上オーバーする時に、全額徴収されますので、税金対策ということで、1回注文の金額上限を決めるか、複数口に分けて配送するか方針を決めなければなりません。
それを狙って税金ゼロ円で中国に商品を送れるよう取り組んでいる事業者は少なくありません。

越境EC総合税(BCモード)

企業名義で中国個人に出荷でき、中国保税倉庫を利用し商品を一括入庫して注文が発生する度に中国保税倉庫から出荷といったやり方も対応可能です。

行郵税と比べたら、税金が安くその割に利用条件が厳しいというところがあります。

消費者利用限度額

BCモードで利用する場合は、中国消費者1回の注文額は5,000元(8.7万円)まで、年間26,000元(約44万円)と上限がつけられています。
上記限度額以内であれば、関税は0%、輸入増値税率と消費税率を適応した課税対象額の70%で越境EC総合税として税金が発生します。

1回注文の限度額5,000元を超えた場合、年間限度額を超過せずさらに一回の注文に商品件数が1件であれば、最恵国待遇の関税率も適応され、および輸入増値税率と消費税率を適応した課税対象額の100%で越境EC総合税として税金が発生します。

限度額内の場合、発生する越境EC総合税を参考にしてください。

カテゴリ
最恵国待遇関税率

(%)

増値税率

(%)

消費税率

(%)

越境EC総合税

(%)

粉ミルク 乳児用ミルク 15 13 0 9.1
成人奶粉 成人用ミルク 10 13 0 9.1
紙パンツ 紙パンツ 4 13 0 9.1
サプリ サプリメント 12 13 0 9.1
食品 シリアル食品・ポテチ・揚げ菓子 10 13 0 9.1
チョコレート 10 13 0 9.1
ドライフルーツ 25 13 0 9.1
ナッツ類 25 13 0 9.1
コーヒー 15 13 0 9.1
水・ミネラルウォーター 5 13 0 9.1
炭酸飲料 5 13 0 9.1
液体ミルク 15 13 0 9.1
清涼飲料水 5 13 0 9.1
ガム 12 13 0 9.1
ソフトキャンディ 10 13 0 9.1
ブラウンシュガー 10 13 0 9.1
野菜ピューレ 5 13 0 9.1
フルーツピューレ 5 13 0 9.1
調味料 12 13 0 9.1
ヌードル食品 10 13 0 9.1
ビスケット 10 13 0 9.1
キャノーラ油 9 9 0 6.3
オリーブオイル 10 9 0 6.3
亜麻仁油 15 9 0 6.3
ナチュラルハニー 15 9 0 6.3
ワイン 14 13 10 17.9
スパークリングワイン 14 13 10 17.9
ビール 0 13 0 9.1
即食バーズネスト 12 13 0 9.1
化粧品 マスク(シート) <15元/枚 1 13 0 9.1
マスク(シート) >=15元/枚 1 13 15 23.1
スキンケア製品(シート以外) < 10元/gまたは10元/ml 1 13 0 9.1
スキンケア製品(シート以外) >= 10元/gまたは10元/ml 1 13 15 23.1
化粧品・メイクアップ(シート) <15元/枚 5 13 0 9.1
化粧品・メイクアップ(シート) >=15元/枚 5 13 15 23.1
化粧品/メイクアップ(シート以外) <10元/g または 10元/ml 5 13 0 9.1
化粧品/メイクアップ(シート以外) >=10元/g または 10元/ml 5 13 15 23.1
香水<10元/ml 3 13 0 9.1
香水>=10元/ml 3 13 15 23.1
パーソナルケア シャンプー 3 13 0 9.1
ボディソープ 3 13 0 9.1
ハミガキ 3 13 0 9.1
電器 スマートフォン、タブレット 0 13 0 9.1
イヤホン、サウンドボックス 0 13 0 9.1
キーボード、マウス 0 13 0 9.1
ウォータージャグ 7 13 0 9.1
美容機器 0 13 0 9.1
ドライヤー 7 13 0 9.1
炊飯器 7 13 0 9.1
コーヒーメーカー 7 13 0 9.1
パン焼き機 7 13 0 9.1
ジュース絞り器 7 13 0 9.1
電気シェーバー 8 13 0 9.1
電動歯ブラシ 8 13 0 9.1
カメラ・レンズ 0 13 0 9.1
ゲームソフトおよびアクセサリー 0 13 0 9.1
洋服、ライトラグジュアリー ウィメンズウェア、メンズウェア、インナー 10 13 0 9.1
バッグ、ウォレット、ラゲージ 6 13 0 9.1
卑金属製のイミテーション・ジュエリー(ネックレス、イヤリングなど) 8 13 0 9.1
ガラス製のイミテーション・ジュエリー(ネックレス、イヤリングなど) 8 13 0 9.1
税込み価格10,000円以下の腕時計 8 13 0 9.1
税込み価格10,000円以上の腕時計 8 13 20 28.9
プレシャスメタル・アクセサリー 10 13 10 17.9
宝石または半貴石製品、天然或いは養殖真珠製品 10 13 10 17.9
10 13 0 9.1
ベルト 10 13 0 9.1
マフラー・スカーフ 6 13 0 9.1
スマートフォンケース 10 13 0 9.1
その他 おもちゃ 0 13 0 9.1
厨房器具 7 13 0 9.1
ベビーシート 0 13 0 9.1
コンドーム 0 0 0 0
スチームアイマスク 6.5 13 0 9.1
アンチモスキートステッカー 6.5 13 0 9.1
解熱シート 6.5 13 0 9.1
ペットフード 15 9 0 6.3
祭り用品 0 13 0 9.1
バスケットボール、サッカーボール、バレーボール 6 13 0 9.1
テニスラケット、バトミントンラケット 6 13 0 9.1
スケート、ローラースケート 6 13 0 9.1
フィットネス、リハビリテーション機器 6 13 0 9.1
釣り道具(釣り竿、釣り針、リール 6 13 0 9.1
ゴルフボール 6 13 10 17.9

ほとんどのカテゴリでは一律9.1%ですが、香水や高級化粧品の場合は最大でも23.1%の税金が発生してしまいます。
一部の商品は行郵税と比べて税金において、おおよそ半分以上コスト節約できるという見方があってBCモードを利用する業者がたくさんいます。

利用条件

BCモードを利用するには、以下二つの条件をクリアする必要がございます。

①中国税関登記申請が必要

残念ながら中国に税関を登記できるのは中国本土に設立した法人のみになりますが、
日本企業は代理できる物流会社を利用するしかありませんので、物流会社の名義を使って中国の個人消費者に届くイメージになります。

②注文情報、決済情報、物流情報を中国電子ポートへ共有

この三つの情報を「三単」と呼び、取引が発生して、税関に申告する際、すべてのデータを中国電子ポートに同期することが条件です。
やや難しそうな感じがありますが、日本の企業は中国電子ポートへデータを共有することは非現実的と考えても問題ないでしょう。

ただ、BCモードを使う場合にはどうしても必要になるので、自社が作成した越境ECサイトではなく、予めそれらの知識を網羅した中国越境サービスを利用することが中国に推薦されています。

その中よく知られている方法として、大手モールサイトで出店する方法です。
近年WeChatミニプログラムによる越境ECも台頭しはじめ、WeChatミニプログラムに対応したECシステムおよび物流サービスから「三単」の共有は初期搭載としてソリューションを提供しています。

上記条件をクリアできるソリューションはご提供可能ですので、ご興味のある方はこちらでお問い合わせください。

まとめ

ここまで説明したら、おおよその越境ECにおける中国税制をご理解いただけたと思います。
それでもどのモードがいいのかわからない方なら、以下ご参考程度に見ていただければ幸いです。

行郵税(CCモード)を利用する事業者の特徴

  1. 発生税金は50元以下であれば、税金が免除される
  2. 行郵税税目1(13%)と税目2(20%)に適応する対象商品を販売する
  3. 個人名義で送ることに抵抗ない
  4. 大量の在庫を持たずとりあえず小規模で行う

 

越境EC総合税(BCモード)を利用する事業者の特徴

  1. 行郵税税目3(50%)に適応する対象商品を販売する
  2. 個人名義で送りたくない
  3. 大量配送ありきで保税倉庫を利用して日本から中国への物流コストを節約したい
  4. 中国現地越境ECサービスを利用する(例:WeChatミニプログラム)

この商品を売ることに決めた際に、どういう方法があってそれぞれ適応される税率はいくらかを調べ、人件費、製造、販売、販促、物流さまざまなコストと合わせてどれだけ利益が出るか事前にシミュレーションが不可欠です。

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ABOUT ME
Jiang
中国上海出身で2018年に来日、現在福岡在住。 来日前8年間中国マーケティングの仕事に携わり、ウェブマーケティング専門でマーケターとして活躍しています。 中国集客・広告・EC出店をご提案しています。

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