2021年9月9日に中国工業情報化部(通称:工信部)はアリババグループ、バイトダンス(TikTok運営)、百度、ファイウェイ、シャオミー、360など中国最先端のトップ企業と、外部リンク遮断問題について会議が行われました。
中国の一部サービスは外部リンクの掲載やまた他社サービスへの遷移リンクを遮断しています。
インターネットのトップ企業たちの独占戦略が日々深刻になり、不正競争に基づいて、もたらした事業者の流入問題の解決は期待されています。
今回は外部リンク遮断の件また日本事業者に対して何が変わるかを記述していきたいと思います。
外部リンクの遮断はどういうこと?
自社サービスを使うユーザーを囲い込む目的で、外部サイトへ遷移できない、あるいはそもそもリンク掲載すら許されない状態にし、外部リンクを遮断している行為です。
たとえば、LINEで友達にツイッターの投稿をシェアしたら、リンクをクリックできないというイメージがわかりやすいでしょう。
ライバル意識が強く敵対すると意識している中国企業は、そういう真似をすることは珍しくありません。
ここで該当事件をご紹介しましょう。
タオバオとWeChatとの相互遮断
WeChatは国民アプリとしてほぼ中国人の誰でもスマートフォンにインストールして毎日使っています。WeChatとタオバオを同時に使っていれば、すぐ理解できるでしょう。
現在タオバオの商品をWeChatにシェアする時に、リンクが発行されず「タオバオパスワード」が発行されます。
そのタオバオパスワードをWeChatで送り、受取人からタオバオパスワードをコピーしてタオバオアプリを開けると、該当商品に遷移できるという仕組みになっています。
一見これはWeChatがタオバオを遮断しているように見えますが、これは何故こうなったか要因を遡ってたどり着けたのは2013年のことでした。
発生の原因
2013年当時タオバオの商品をWeChatにリンクを掲載することができた頃、WeChatユーザーからの報告で事件の幕開けとなりました。
WeChatユーザーがリンクを開くと、以下の表示が出ていました。
日本語訳:
アリババはWeChatのアクセスリクエストを遮断しました。
アクセスするには、リンクを長押ししてブラウザーからアクセスしてください。
WeChat内ブラウザー機能を使ってタオバオリンクを開いての買い物が安全ではないと主張していたタオバオですが。WeChat運営会社のテンセントから指摘を受けたものの、リンクを開いた場合、直接タオバオアプリを起動、もしくはダウンロードページに誘導させると一連の仕掛けで対策を講じていました。
やがて相互リンクの遮断まで一気にエスカレートしてしまいました。
2021年の今でもまったく改善されていませんでした。
タオバオのビジネスモデルによって必要な対策
タオバオはWeChat以外、以前は百度のインデックスも遮断していたそうです。
外部流入を普通は歓迎するのに、なぜタオバオはそんなに嫌がるのか?疑問だと思います。
それはタオバオのビジネスモデルと大きく関係しています。
タオバオの収益主体は広告と言えますが、広告サービスが利用されるほど収益化能力は高くなります。
それがWeChatや他のサードパーティによって破られた場合(広告経由での流入ではない流入)、収益に影響を与え、事業が破綻するのでは?というほど致命的なものになりかねません。
タオバオを活かし続けるために、売り手がショップを宣伝するのに必要な流入はタオバオの自然流入と広告サービスに依存するのが必要不可欠にしてしまったのです。
もしWeChatをはじめとした流入リソースを遮断しないと、最終的には「タオバオから脱却」ということが発生しかねないです。
健全なネット環境が再来するのか
中国は多くの大手サービス提供会社の独占戦略を駆使してユーザーを囲い込み過ぎたということによって、各サービス・アプリ間の風通しが悪くなる一方でした。
多数のアプリを併用、縛りの中で中国でのマーケティングおよび集客活動を実施する際、そのハードルとコストがさらに年々と高まったとわかりました。
合わせてお読みください。
タオバオとWeChat以外でも、多くの中国発サービス間の葛藤があります。
今回工信部によって指摘された外部リンクの遮断解除が正式にスタートされれば、中国現地事業者だけでなく、海外事業者にとっても今後中国でのSNSやEC運用などをはじめたとしたオンラインマーケティングがより効率よく行いやすくなるでしょう。