2009年からスタートし、今年で11回目を迎える「独身の日」や「双十一」などと呼ばれる中国EC業界における最大のオンラインイベントが開催されました。
コロナ禍や自然災害に冒されたことにより、景気を取り戻そうしている中国ですが、今年の「双十一」に毎年のように数字が更新されていくことが無いのではないか?といわれていました。
「双十一」イベントの幕下しとともに発表された数字は前年の実績をさらに上回りイベント期間の総GMVはなんと約8,403億元という凄まじい成果がとなりました。
落ちる可能性まで危惧されてましたが、実質2倍以上成長したんじゃないかと思われるかもしれません。
ただ、中国経済成長の鈍化が進んでいる中で、過去に負けない上昇率をたたき出して、さらに成長していっているのか。
そういった視点も含めて今回の2020年「双十一」を分析してみましょう。
中国独身の日「双十一」イベントの盛況
2020年「双十一」全ネットワーク総取引額
2020年「双十一」天猫Tmallの総取引額
Data by SYNTUN
今年の「双十一」は依然として去年の勢いを維持したまま全ネットワーク総取引額は合計8,403億元(約13兆3億円:1元=15.8円換算)という記録でした。
成長率に関しては前々年比と比べたら、105%と2倍強の成長を遂げました。
中国EC業者をリードしているアリババグループ傘下のECプラットフォーム天猫Tmallだけで4,982億元の実績を獲得し、前年の2,684億元と比べたら、133%成長したと素晴らしい成績でこの数字を知って唖然とした人もいるのではないでしょうか。
2020年「双十一」総取引額の割合
Data by SYNTUN
アリババ系は変わりなくトップシェアを占めていて、約59.3%になっています。
ただし去年と比べて約6.2%落ちました。
それに続いて2位である京東(jd.com)は25.3%です。
去年と比べて8.1%の成長を見られました。
各越境ECプラットフォームの取引額の割合
Data by SYNTUN今回取り上げたのは天猫国際、京東国際、唯品会国際、拼多多海淘この4つのサービスになります。
こちらのパーセンテージはそれぞれプラットフォームでの取引額が全ネットワークを割った結果になっています。
すべて合算してしまうと、全取引額の28.1%つまり約2,361億元は海外輸入商品の取引から発生していることがわかりました。
越境ECの加速
海外ブランドが中国への参入を加速させ、天猫国際を通じて初めて2,600以上の新ブランドと120万の新輸入品がイベントに参加しました。
11日の昼までのデータによると、Tmall国際輸入品の売上高は前年比47.3%増となりました。
海外ブランドのうち180ブランドの売上は1,000万元を超え、100万元を超えたのは816ブランドほどありました。
2020年「双十一」商品カテゴリの売上ランキングトップ10
Data by SYNTUN家庭内の出費として最も高い家電製品やデジタル製品は「双十一」のスーパーセールを狙って購入するユーザーが多いと考えられます。
次点はファッション系や化粧品です。
今年さらに注目されるライブコマースによって取引件数とボリュームも去年より増加する傾向があったそうです。
売上トップエリア:地域販売の観点からは、一線都市と新一線都市が販売の最前線にあります。
地域住民の方が消費力が強い傾向が見られます。その中で上海、北京、杭州が上位3位にランクインしました。
顧客あたりの単価が上昇
Data by SYNTUN
2020年の「双十一」当日に出された配送物の平均単価は251元で、前年比1.62%の上昇であり、顧客あたりの単価は上昇しています。
2倍成長という凄まじい事実を成し遂げた理由
なぜそこまでの差がついたかというと、今年「双十一」イベントの特徴とされる「仕組み」が一新され、そもそも計算方法自体も変わった、この2つが最大の原因でした。
今まで「双十一」と呼ばれるイベントは、その一日、11月11日のみ発生した取引実績を計算していましたが、今年は10月中旬ごろから11月15日までおおよそ一か月間にかなり長い余熱期間を設けた「双十一」イベントなので、過去と比べて2倍成長になったというわけです。
11月11日に絞ったデータで比べると以下のグラフになります。
Data by SYNTUN中国「双十一」イベントが始まって以来はじめてのマイナス成長が見られました。
ただし今回イベントの仕組み自体は過去10回と大幅に変わったため、比較対象としてマイナス成長と判断するには証拠不足だと考えます。
過去のイベントと違う仕組み
今までの「双十一」はその日になるまで溜まった購買欲エネルギーを11月11日の0時から一気に爆発させたようなイメージが妥当でしょう。
それと比べて今回の「双十一」イベントはあえて2段階に分けて実施し、その力を分散させた仕組みを取りました。
イベントスパンを長くしてサーバーや出荷、物流などの負荷を減らし、マーケティング面においても有益という声もあって今後の「双十一」イベントも同じパターンで固める可能性が高いと推測されています。
ライブコマースによる売上は729億に達成
「双十一」イベント期間中、タオバオやTiktok(抖音)および快手(kuaishou)はライブ動画配信機能を使ったライブコマースによる売上は729億に達成し、「双十一」全期間の8.67%ほど占めています。
中国トップライバーたちは、ほぼ毎日長時間の配信を行うことで、億単位の数値を超えたインフルエンサーたちは続出致しました。
Data by SYNTUN
外国人までライブコマースに参入
報道によると、ラロロペスさんというスペイン人男性が中国の上海にある小さなスタジオで生放送を行い、自転車や掃除機などの中国製品を世界中のスペイン語を話す人々に宣伝しました。
ラロロペスさんは中国に採用される外国人の先駆者であり、中国の「ライブコマース」ブームを海外に広めています。
ソーシャルメディアやショッピングプログラムでは、アンカーがカメラに押し寄せて製品を何度も視聴者に紹介し、この新しい販売モデルは多くの外国メディアに注目されました。
その結果、中国の影響を受けて、一部の外国の小売業者も「商品のライブ配信」でビジネスチャンスと見ているようです。
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