ECサイトを運営していると、注文確認・会員登録・パスワード再設定などのトランザクションメールから、メルマガ・キャンペーン告知まで、大量のメールを確実に届ける仕組みが欠かせません。2024年2月に始まったGmailの送信者ガイドライン強化以降、「とりあえずサーバーから送る」運用では届かないケースが急増しており、メール配信サービスの選定は2026年のEC運営における重要な設計ポイントになっています。
本記事では、海外大手のMailchimp・Benchmark・SendGrid・Amazon SESに加え、国内で到達率に定評のあるベアメール・blastengineを含めた6サービスを比較し、ECサイト向けの選び方を解説します。
比較の前に押さえておきたいのが、メール配信サービスには大きく2タイプあるという点です。
ECサイトの注文確認メールが届かないのは機会損失に直結するため、まずトランザクション側の基盤を固め、必要に応じてマーケティング配信型を組み合わせるのが基本です。
Mailchimpは、マーケティングオートメーション機能を備えたメール配信サービスです。使いやすいインターフェースと多彩なテンプレート、A/Bテスト機能を提供し、小規模から大規模なビジネスに対応しています。
特徴:
Benchmarkは、シンプルで使いやすいUIを提供するメールマーケティングツールです。ドラッグ&ドロップ式のエディタを備え、日本語UI・国内サポートに対応しています。
特徴:
SendGridは、開発者向けに特化したAPIベースのメール配信サービスです。トランザクションメールの送信に優れ、大量配信が可能です。世界的な実績があり、日本では構造計画研究所がサポートを提供しています。
特徴:
Amazon Simple Email Service(Amazon SES)は、AWSが提供するメール配信サービスで、1,000通あたり0.10ドルという業界最安級の従量課金で大量のメールを送信できます。
特徴:
ベアメールは、株式会社リンクが提供する国内メールリレーサービスです。携帯キャリアから信頼度の高い国内データセンター・IPアドレスを利用し、IPレピュテーションの管理・運用をサービス側が担うため、キャリア宛メールの多いECサイトでも高い到達率を維持できます。
特徴:
blastengineは、株式会社ラクスライトクラウドが提供するAPI連携・SMTPリレー型のメール配信サービスです。日本国内への到達率99%をうたい、電話・メールによる日本語サポートが受けられます。
特徴:
| 項目 | Mailchimp | Benchmark | SendGrid | Amazon SES | ベアメール | blastengine |
|---|---|---|---|---|---|---|
| タイプ | マーケ配信 | マーケ配信 | リレー/API | リレー/API | リレー | リレー/API |
| 料金 | 無料プランあり | 無料プランあり | 有料のみ(Free終了) | 従量課金(最安級) | 初期5万円+月5,000円〜 | 初期無料+月3,000円〜 |
| 使いやすさ | ◎ | ◎ | △(開発者向け) | △(開発者向け) | ○ | ○ |
| 自動化機能 | 充実 | あり | 一部 | なし | なし | なし |
| APIの柔軟性 | ○ | ○ | ◎ | ◎ | ○ | ◎ |
| 国内キャリア到達対策 | △ | ○ | ○ | △(自己管理) | ◎ | ◎ |
| 日本語サポート | × | ○ | ○(代理店経由) | △ | ◎ | ◎(電話可) |
トランザクションメール基盤としてよく比較される2つの違いは、「単価」と「運用責任の所在」に集約されます。
まとめると、AWSに知見がありコストを最優先するならSES、運用を任せたい・日本語サポートが欲しいならSendGridまたは国内リレーサービスが候補になります。
「SESのアカウント停止リスクが怖い」「SendGridのFree終了で乗り換え先を探している」という場合、国内のベアメール・blastengineが有力候補です。選定は次の4軸で比較するのがおすすめです。
特に国内キャリア(docomo・au・SoftBank)宛の比率が高いECサイトでは、キャリア別の配信最適化を持つ国内サービスの到達率の安定感が効いてきます。
2024年2月からGoogleはGmail宛て大量送信者への要件を段階的に強化しており、どのサービスを選んでも以下の対応は必須です。
本記事で紹介した各サービスはいずれも送信ドメイン認証に対応していますが、DNS設定は利用者側の作業です。ECサイトの独自ドメインでSPF/DKIM/DMARCレコードが正しく設定されているか、移行時には必ず確認してください。
Magento / Adobe CommerceのECサイトでは、注文確認・出荷通知などのトランザクションメールをSMTP経由でリレーサービス(SendGrid・Amazon SES・blastengine等)に接続し、メルマガはマーケティング配信型または配信管理機能のあるサービスで運用する構成が定番です。送信基盤をサーバー直送からリレーサービスに切り替えるだけで、到達率とバウンス管理は大きく改善します。
MagentoでのECサイト構築・リニューアルをご検討なら、Magento構築・リニューアル支援もあわせてご覧ください。
用途で向いているサービスが分かれます。マーケティングメール(キャンペーン・自動化)にはMailchimpやBenchmarkが適しており、直感的なUIとオートメーション機能が充実しています。注文確認などのトランザクションメールにはSendGrid・Amazon SES・ベアメール・blastengineといったリレー型がAPI/SMTPの柔軟性と到達率の面で優れます。
コスト最優先でAWSの運用知見があるならAmazon SES(1,000通あたり0.10ドル)が有利です。ただしバウンス・苦情率の自己管理が必要で、悪化するとアカウント停止のリスクがあります。運用をサービス側に任せたい場合や日本語サポートが必要な場合はSendGridや国内リレーサービスが向いています。
MailchimpとBenchmarkは無料プランを提供しています(送信数・機能に上限あり)。SendGridの無料Freeプランは2026年3月末で終了しました。Amazon SESは従量課金制で、条件を満たす場合の無料利用枠があります。blastengineは無料トライアルで事前検証が可能です。
まずSPF・DKIM・DMARCの送信ドメイン認証が正しく設定されているかを確認してください。2024年2月以降のGmail送信者ガイドラインにより、認証未設定のメールは拒否・迷惑メール判定されやすくなっています。加えて迷惑メール率(0.3%未満が目安)とバウンス率の推移も確認が必要です。