はじめに
Odooには、「Community版」と「Enterprise版」という2つのエディションがあります。どちらも同じOdooですが、料金、使えるアプリ、動かせる環境、サポートの有無が違うため、自社の業務や体制にどちらが合うのかを見極めることが大切です。
この記事では、2つのエディションの違いを、料金プラン、使えるアプリ・機能、使える環境、サポートとバージョンアップの4つの観点で整理し、日本の企業が気をつけたい点もまとめます。あわせて、私たちがEnterprise版の環境で予約アプリや署名アプリ、AI機能を実際に操作して感じたことも紹介します。
Odooがどんなシステムかを先に知りたい方は、Odooとは?特徴・料金・他ERPとの違いを解説した入門ガイドもあわせてご覧ください。
※本記事の内容は、2026年10月時点で確認できた情報をもとにしています。料金や機能は変わることがあるため、最新情報はOdoo公式の料金ページでご確認ください。
ひとことで言うと何が違うのか
Community版は、誰でも無料で使えるオープンソース版です。Enterprise版は、Community版をベースに、追加のアプリや機能、公式サポートが付く有料のサブスクリプション版です。
たとえるなら、同じ土台の上に建つ2つの家です。Community版は基本の間取りだけの家で、設備を足したり修理したりは自分で手配します。Enterprise版は、設備が一通りそろい、管理会社のサポートも付いた家です。
ポイントは、2つが別々のソフトではなく、同じ土台を共有していることです。Community版は体験版ではなく、それだけで業務に使えるソフトです。
また、Enterprise版には「アプリ1つだけなら無料」というプランもあります。そのため、「無料=Community版」「有料=Enterprise版」と単純には分けられない点に注意が必要です。
ライセンスと料金プランの違い
Community版:ライセンスは無料、運用の費用は自分持ち
Community版はLGPL-3.0というオープンソースのライセンスで公開されていて、ユーザー数に関係なくライセンス料はかかりません。
ただし、無料なのはソフトのライセンスだけです。自社サーバーなどで動かす場合は、サーバー、ドメイン、セキュリティ対策、バックアップやアップデートの作業などを自社で用意する必要があります。社内で対応できない場合は、その作業を外部に頼む費用がかかります。
Enterprise版:ユーザー数に応じた月額のサブスクリプション
Enterprise版の料金プランは、大きく3つです。
| One App Free | Standard | Custom | |
|---|---|---|---|
| 料金 | 無料 | ユーザー数×月額 | ユーザー数×月額 |
| 使えるアプリ | 1つ (必要な関連アプリ含む) |
全アプリ | 全アプリ |
| 動かす場所 | Odoo Online | Odoo Online | Odoo Online Odoo.sh 自社サーバー |
| Studio・外部API 複数会社の管理 |
△※ | × | ○ |
| 公式サポート・保守 | ○ | ○ | ○ |
※One App Freeでも、無料の1アプリとしてStudioを選んだり、複数会社を使ったりできます。詳しい条件は、Odoo公式の料金ページのFAQをご確認ください。
有料プラン(Standard・Custom)の料金はユーザー1人あたりの月額で、国や契約期間によって変わります。正確な金額はOdoo公式の料金ページで確認するのが確実です。
料金の目安や、導入時にかかる費用の内訳は、Odoo導入費用の内訳と料金プラン【2026年版】で詳しく解説しています。
なお、Odoo.shで運用する場合、Odoo.shのホスティング費用はプラン料金とは別にかかります。費用はOdoo.shの料金ページ(英語)で確認できます。
使えるアプリ・機能の違い
販売、CRM、在庫、購買、製造、ウェブサイト、ECサイト、POS、プロジェクト管理、従業員管理といった基本的な業務アプリは、Community版でも使えます。
一方、次のようなアプリや機能はEnterprise版だけで使えます。
Community版でも足りない機能を自社開発や外部のモジュールで補うことはできますが、その分の開発費や保守の手間がかかります。
使える環境の違い
Odooを動かす場所は、大きく3つあります。
Community版は、自社サーバーで動かすのが基本です。Odoo社の公式クラウド(Odoo OnlineやOdoo.sh)はEnterprise版向けのサービスです。
Enterprise版は3つすべてから選べます。ただし、StandardプランはOdoo Onlineのみで、Odoo.shや自社サーバーで使うにはCustomプランが必要です。また、Odoo Onlineでは独自に開発したモジュールは動かせません。
私たちはOdoo.shを使っているため、Studioでは作れなかった機能を独自モジュールとして追加できました。その例はOdoo Signの署名依頼に「上長承認」を付けるで紹介しています。
サポートとバージョンアップの違い
Enterprise版は、すべてのプランに公式サポート、ホスティング、保守が含まれています。新しいバージョンへのアップグレードも追加料金なしで受けられます。ただし、独自に開発した部分の保守は含まれません。
Community版には、Odoo社の公式サポートはありません。困ったときは、世界中の開発者が参加するコミュニティの情報や、Odooパートナーなどの外部の支援に頼ることになります。バージョンアップの作業も、自社または依頼先で行う必要があります。
Odooは毎年新しいバージョンが出るため、長く使うほど、このバージョンアップの負担の差が大きくなります。
日本の企業が気をつけたい点
導入前に、自社の会計処理や給与計算の運用と照らし合わせて、どこまでOdooで行うかを確認しておくのがおすすめです。
実際に使ってみて感じたこと
私たちは、Odoo.sh上で動くEnterprise版(Odoo 19)の環境で、日々の検証や記事のための操作を行っています。
これまでの記事で紹介した予約アプリや署名アプリは、どちらもEnterprise版のアプリです。画面操作だけで日程調整ページを作れたり、契約書の署名依頼を送れたりと、別のサービスを契約しなくてもOdooの中で完結できるのは、Enterprise版ならではだと感じます。
一方で、意外だった点もありました。Odooの新しいAI機能(Ask AIやAIエージェント)を試そうとしたところ、「APIキーが設定されていません」というエラーが出て動きませんでした。Odoo 19の公式ドキュメントでは、Odoo.shや自社サーバーでAI機能を使うには、OpenAIやGoogleといったAIサービスのAPIキーの登録が必要で、Odoo Onlineでは必須ではないと説明されています。私たちの環境はOdoo.shで、APIキーを登録していなかったことが原因と考えられます。Enterprise版を契約すれば、どの環境でもすぐにAIが使えるわけではないので、AI機能を目当てに検討している方は、使う環境とあわせて確認しておくのがおすすめです。
どちらが向いているか
Community版が向いているケース
- 社内にサーバーやOdooの開発・運用ができる技術者がいる
- 使いたい機能が、Community版の基本アプリで足りる
- まずは費用をかけずにOdooを試してみたい
Enterprise版が向いているケース
- サーバーの管理やバージョンアップを自社で抱えたくない
- 困ったときに公式サポートを受けたい
- Studio、署名、予約、ヘルプデスク、AI機能など、Enterprise版だけのアプリや機能を使いたい
迷った場合は、使いたい業務とアプリを書き出し、それがCommunity版で足りるかどうかから確認するのが近道です。
マルウェブでは、Odooの導入やカスタマイズのご相談を承っています。詳しくはOdoo導入支援サービスをご覧ください。
よくある質問
Community版は本当に無料で使えますか?
ライセンス料は無料です。ただし、自社サーバーなどで動かす場合は、サーバーやバックアップ、アップデートなどの環境と作業を自社で用意する必要があり、その分の費用や手間はかかります。
Enterprise版を無料で使う方法はありますか?
アプリを1つだけ使う「One App Free」プランであれば無料です。選んだアプリが動くのに必要な関連アプリ(例:eコマースならウェブサイトと請求)も無料で使えますが、それ以外のアプリを追加すると有料のプランになります。
Community版からEnterprise版に切り替えられますか?
切り替えは可能です。ただし、作業前にデータベースのバックアップを取ることが前提です。また、Community版向けに
弊社ではOdoo(オドゥ)を利用した業務システムの一元管理・オールインワンな仕組みの構築・開発をして企業様をサポートしています。
ご興味ある方は是非お問い合わせください。


