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Magento 2のサイトURLを国や言語ごとにカスタマイズ!(サブフォルダ編)

Magento 2のURLにサブフォルダ、マルチストア構成

前編に続いて、URLにサブフォルダを用いたMagentoでの複数のウェブサイト・ストアを設定する方法をご紹介いたします。

このようなURL: http://domain.tld/countryname/

このやり方は前編で紹介した方法と比べたら、たいへんハードルが高い内容となりますが、一部のビジネスモデル、特に越境ECにおいて、どうしてもこの手段で実現したいという要望もあるかと思います。

以下で典型的な理由の例を挙げます。

  • 現時点で運営しているECサイトはもともとサブドメインを利用中
  • ドメインを自由に取得・追加できない
  • サブドメインは他部署や支社にのみ割り当てられている
  • SSL証明書が1ドメインしか発行できない

などなどMagentoでのサブフォルダ構造のURLでストアを構築する需要はかなりあります。

今回の目標は架空のmaruweb.comをベースドメインとして、Magentoを以下のように、3つの国に使い分けます。サブフォルダ名は国名としましょう。

日本(デフォルト):maruweb.com/japan/…
中国:maruweb.com/china/…
アメリカ:maruweb.com/unitedstates/…

実現方法複数存在・・・。しかも、どれもおすすめできません!

さて、どうすればいいかと思って、検索してみたら、インターネットに出回っているやり方はだいたい2種類存在します。

1.管理画面で、店舗→設定→ウェブ→URLオプションに進んで、「店舗コードをURLに追加」を「はい」にします。

店舗コードをURLに追加
店舗コード実はStore View Code

一見この方法は簡単そうで、すぐにでもできますが、デメリットというか、致命的な問題点があります。まずここMagento自体の説明に問題があって、「店舗コードをURLに追加(元の英語: Add Store Code to URLs、日本語翻訳は問題ない)」の「店舗コード」実際はStore View Codeです。

ここまでの内容で理解できている人は、たぶんMagento利用経験者だと思いますが、Store Viewスコープの制限があるので1つのウェブサイトでしか運用できません。。。

例えば、日本国内向けサイトで、言語・通貨は1種類しか選べません。サイトで日本語と英語の切り替えは無理です。

さらに、もう1つのデメリットとしては、サブフォルダ名はStore View Codeと紐付けられてしまいます。

2.実際のファイルシステム上、本当にサブフォルダを作ります。

Magentoのルートディレクトリに/china、/unitedstatesのフォルダを作成して、Magentoルートディレクトリのindex.phpと.htaccessをそれぞれ作成したフォルダにコピペします。次に、サブフォルダにあるindex.phpに以下の箇所を編集します。

require realpath(__DIR__) . '/../app/bootstrap.php';
$params = $_SERVER;
$params[\Magento\Store\Model\StoreManager::PARAM_RUN_CODE] = '<countryname>'; //ここは管理画面で設定したウェブサイトのコードです
$params[\Magento\Store\Model\StoreManager::PARAM_RUN_TYPE] = 'website';

 

その場しのぎで実現はできましたが、Magentoのファイルの構造を変えてしまったので、アップグレードやパッチ適応に不向きです。

たくさんのトライ&エラーで、ついに・・・

上記のやり方はどれもデメリットが大きくて、運用には躊躇しますね。
本当にいい方法はないかと思っていますが、ではMagento自体はどのようにウェブサイト・ストアを判断しているのかから考えましょう。

公式ドキュメントを参考すると、Magentoは$_SERVER[‘MAGE_RUN_TYPE’]と$_SERVER[‘MAGE_RUN_CODE’]で実行するウェブサイトを決めます。
最初はApacheのSetEnvIfやRewriteRuleでなんとか行けると思っています。しかし.htaccessにこのRewrite Ruleがあります。

RewriteRule .* index.php [L]

つまり、すべてをindex.phpにリライトします。Magentoは$_SERVER[‘REQUEST_URI’]で動くんですね。

これじゃApacheレベルの設定だけではどうしようもないんです。
やはりindex.phpを変えなければならないのでしょうか?

[解決]ひらめきました!

実はphp自体に開発者がよく利用するauto prepend file機能があります。.htaccessでも、一行加えたら、この便利な機能が使えるようになります。
では、さっそく実戦していきましょう。

Magentoルートディレクトリの.htaccessの最初のところに

php_value auto_prepend_file “absolute/path/to/MaruwebURLRouter.php”

を入れます。(アップグレード後はこの一行を入れ直してください)

MagentoのルートディレクトリにMaruwebURLRouter.phpを作成します。

MaruwebURLRouter.php

<?php
  switch(true){
    case preg_match('/^\/japan($|\/.*$)/', 
        $_SERVER['REQUEST_URI'], 
        $maruwebURLRouter_matches):
      $_SERVER['MAGE_RUN_TYPE']='website';
      $_SERVER['MAGE_RUN_CODE']='JP';
      $_SERVER['REQUEST_URI']=$maruwebURLRouter_matches[1];
      break;
    case preg_match('/^\/china($|\/.*$)/', 
        $_SERVER['REQUEST_URI'], 
        $maruwebURLRouter_matches):
      $_SERVER['MAGE_RUN_TYPE']='website';
      $_SERVER['MAGE_RUN_CODE']='JP';
      $_SERVER['REQUEST_URI']=$maruwebURLRouter_matches[1];
      break;
    case preg_match('/^\/unitedstates($|\/.*$)/', 
        $_SERVER['REQUEST_URI'], 
        $maruwebURLRouter_matches):
      $_SERVER['MAGE_RUN_TYPE']='website';
      $_SERVER['MAGE_RUN_CODE']='US';
      $_SERVER['REQUEST_URI']=$maruwebURLRouter_matches[1];
      break;
  }

ここで$_SERVER[‘REQUEST_URI’]でウェブサイト・ストアを判断した後、/<countryname>を削除します。

ウェブサイトコード
<countryname>は前編にも言及されたウェブサイトのコードです

URLをたたくと、動きます。
ただし、管理画面を開くと、残念ながら動きません。

原因は…
管理画面のAdmin Keyを除外していませんでした。

対応した内容が以下になります。
ついでに、http://maruweb.com/awesome-productのようなcountrynameがない既存のものをデフォルトのウェブサイト・ストアhttp://maruweb.com/japan/awesome-productにリダイレクトさせます。

MaruwebURLRouter.php

<?php
  $maruwebAdminKey='maruwebadmin';
  switch(true){
    case preg_match('/^\/' . $maruwebAdminKey . '($|\/.*$)/', 
        $_SERVER['REQUEST_URI']):
      break;
    case preg_match('/^\/japan($|\/.*$)/', 
        $_SERVER['REQUEST_URI'], 
        $maruwebURLRouter_matches):
      $_SERVER['MAGE_RUN_TYPE']='website';
      $_SERVER['MAGE_RUN_CODE']='JP';
      $_SERVER['REQUEST_URI']=$maruwebURLRouter_matches[1];
      break;
    case preg_match('/^\/china($|\/.*$)/', 
        $_SERVER['REQUEST_URI'], 
        $maruwebURLRouter_matches):
      $_SERVER['MAGE_RUN_TYPE']='website';
      $_SERVER['MAGE_RUN_CODE']='JP';
      $_SERVER['REQUEST_URI']=$maruwebURLRouter_matches[1];
      break;
    case preg_match('/^\/unitedstates($|\/.*$)/', 
        $_SERVER['REQUEST_URI'], 
        $maruwebURLRouter_matches):
      $_SERVER['MAGE_RUN_TYPE']='website';
      $_SERVER['MAGE_RUN_CODE']='US';
      $_SERVER['REQUEST_URI']=$maruwebURLRouter_matches[1];
      break;
    default:
      header('Location: '.'/japan'.$_SERVER['REQUEST_URI'], 
	    true, 301);
      exit;
      break;
  }

検証したら、すべてのリンクに<countryname>は入っていません。

店舗→設定→ウェブ→スコープ変更→ベースURLs(HTTPSならベースURL(セキュア)も)で、「リンクベースURL」に画像のように<countryname>を入れるのも忘れないようにしてください。

リンクベースURL
ウェブページに貼るリンクの生成用

以上でオッケーです。

ほかにもいろんな方法を考えてみましたが、全体的にはやはりこれがベストだなと思っています。

越境ECにこの需要が高い使い方はなぜか公式にサポートを受けていないようです。
実装する前に、必ず注意事項も合わせて考慮してください。

おまけ: Nginx設定のヒント

nginx.conf

server {
  ...省略...
  server_name maruweb.com
  location <@your_handler> {
    ...省略...
    fastcgi_param PHP_VALUE "auto_prepend_file=/absolute/path/to/MaruwebURLRouter.php";
    ...省略...
  }
  ...省略...
}

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ジャンウェイドン
中国上海出身で2018年に来日、現在福岡在住。 来日前8年間中国マーケティングの仕事に携わり、ウェブマーケティング専門でマーケターとして活躍しています。 中国集客・広告・EC出店をご提案しています。

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