オンラインショップ運営において、既存の顧客にリピート購入を促す施策は非常に重要です。Magentoは高機能なECプラットフォームとして、豊富なプロモーション機能を備えており、中でも「自動配信クーポン生成および配布機能」は、過去に購入されたお客様へ効果的に再購入を促す手段として注目されています。本記事では、Magentoのクーポン機能の基本から、自動生成・自動配信の実装例、運用上のポイントまで詳しく解説します。
1. Magentoのクーポン機能の概要
Magentoでは、プロモーション施策として「ショッピングカート価格ルール」を用いたクーポン機能が標準装備されています。クーポンには大きく分けて次の2種類があります。
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自動適用クーポン 
 条件が満たされると、顧客がクーポンコードを入力する必要なく自動で割引が適用されます。
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特定クーポン(クーポンコード方式) 
 管理者があらかじめ設定したクーポンコードを、顧客がカートで入力する形式です。Magento 1.7以降やEnterprise Edition 1.12以降では、1つのルールに対して複数のクーポンコードを自動生成する機能が備わっています。
今回取り上げるのは、特定クーポンを活用し、過去購入者に対して自動的にクーポンコードを生成・配布する仕組みです。
2. 自動配信クーポン生成・配布機能の目的とポイント
目的
- リピート購入の促進
 一定期間購入がなかったお客様に、割引クーポンを送付することで再来店・再購入を促します。
- 顧客ロイヤルティの向上
 過去の購入履歴に基づいたパーソナライズされたオファーで、顧客満足度や信頼感を高めます。
主なポイント
- 自動生成機能
 Magentoの機能を利用して、1つの価格ルールから枝番付きのクーポンコードを自動生成。
- ターゲットセグメンテーション
 過去購入者リストや最終購入日などの情報を基に、対象顧客を絞り込む。
- 自動配信
 メールマーケティングツールやMagentoの通知機能、あるいは専用拡張機能を利用して、生成したクーポンコードを自動送信。
3. 自動配信クーポンの実装手順
Step 1: プロモーションルールの作成
- Magento管理画面の「マーケティング」>「カート価格ルール」から新規ルールを作成します。
- ルール情報として、クーポンの割引率や適用対象(対象商品や最低購入金額など)を設定します。
 
Step 2: クーポンコードの自動生成設定
- 「特定クーポン」を選択し、「Use Auto Generation」チェックボックスをオンにします。
- クーポンコードの形式(アルファベット、数字、またはその組み合わせ)や、接頭辞・接尾辞、コードの長さ、区切り文字などを設定します。
- 必要なクーポンコードの数量を入力し、生成ボタンをクリックしてクーポンコードを自動生成します。
Step 3: 対象顧客のセグメント作成
- 過去購入者の抽出には、Magentoのレポート機能や、顧客管理モジュール、または外部のCRMシステムと連携して、対象となる顧客(例:最終購入から30日以上経過した顧客)をリストアップします。
- この顧客リストを基に、メール配信リストを作成します。(場合によってはカスタムモジュールの実装が必要です)
Step 4: 自動配信設定(メール連携)
- Magento標準のメールテンプレート機能や、外部のメールマーケティングツール(Mailchimp、SendGridなど)と連携し、クーポンコードを通知するメールテンプレートを作成します。
- Cronジョブを設定し、定期的に対象顧客リストへメールを送信する自動化プロセスを構築します。
 *※Magentoの自動メール送信機能をカスタマイズするか、専用の拡張機能を利用する方法があります。
Step 5: 配信後の効果測定
- Magentoのレポート機能を用いて、クーポンの利用状況、再購入率、売上の推移をモニタリングします。
- 効果を分析し、プロモーションルールや配信タイミングの最適化を図ります。
4. 使用例:再購入促進キャンペーンのケーススタディ
事例:60日間購入がなかった顧客に対する15%OFFクーポン
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ターゲット 
 ・最終購入から60日以上経過した既存顧客
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ルール設定 
 ・対象:全商品または特定カテゴリ
 ・割引:15%OFF
 ・有効期限:配信日から30日間
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自動生成 
 ・Magentoの自動クーポン生成機能を利用して、各顧客ごとにユニークなクーポンコードを発行
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配信方法 
 ・顧客リストを抽出し、Magentoのメールテンプレートで自動送信
 ・メール内にクーポンコードと利用方法の案内を記載
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効果 
 ・再購入率が向上し、クーポン利用による売上増加が確認されました
 ・配信後の分析により、ターゲット条件の微調整や、クーポンの割引率変更が行われ、さらに効果的なプロモーションへと改善
5. 運用上のポイントと注意点
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テスト環境での検証 
 本番環境に適用する前に、必ずテスト環境でクーポン生成・配信機能の動作確認を行いましょう。
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有効期限と利用制限の設定 
 クーポンコードの有効期限、1ユーザーあたりの利用回数、1注文あたりの適用制限など、適切な制約条件を設定することで、不正利用や過度な割引適用を防止します。
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顧客情報の正確な管理 
 対象顧客リストの抽出には、最新の購入履歴データや顧客属性情報を活用し、適切なセグメンテーションを行いましょう。
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メール配信の最適化 
 件名や本文の内容、配信タイミングを工夫し、顧客に受け入れられやすいメールを作成することが重要です。A/Bテストなどで効果を検証しましょう。
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パフォーマンスのモニタリング 
 クーポンの利用率、売上効果、再購入率などを定期的に分析し、プロモーション施策全体のPDCAサイクルを回すことで、さらに最適な運用が可能になります。
6. まとめ
Magentoの豊富なプロモーション機能を活用すれば、過去の購入者に向けた自動配信クーポン生成および配布システムを構築し、効率的にリピート購入を促進できます。
具体的な実装手順としては、カート価格ルールの設定、クーポンコードの自動生成、顧客セグメントの抽出、メール配信の自動化など、各工程をしっかり整備することが重要です。また、運用後は効果測定と改善を行い、プロモーションの成功に繋げましょう。
この機能をうまく活用することで、顧客ロイヤルティの向上や、安定した再購入促進が期待できます。Magentoを既にご利用中の方は、ぜひ今回ご紹介した手法を参考に、次のプロモーション施策として取り入れてみてください。
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